人気ブログランキング | 話題のタグを見る

<a href=hitoshi ameya " border="0">

福井県 南越前市 8/18  


福井県は長寿で知られているようです。

また、ある調査では住みやすさ日本一になっていると聞きます。
三世代で暮らすことも珍しくなく、田んぼの続く道を歩いていると、親子らしき姿をよく見ます。

今日も田んぼで作業をするおばぁちゃんと話をします。
いったい今まで何人の農家の方と触れあっただろう。
最近はカカシはみないので、安心して声をかけれるとはいえ、あまりにも自然に話しかけている自分にふと思います。

この地域では、来年の稲になる種をとるようです。
しかし、そのためには厳しい検査を受けなければ認定されないそうです。
田んぼの中に雑草が生えていないこと、違う品種が混じっていないことや稲自体が元気で病気にかかってないことなど様々と聞きます。
偶然話しかける方がそうなのか、いつものことで、仕事の手を休めて申し訳ないと思うほど一生懸命説明してくれます。

間もなく80才をむかえるおばぁちゃんは説明しているときは切実に、相づちを打つとニコーっと大きく笑います。
ゆっくりとした口調で、
「なんだか米って、息子みたいなもんでさ。毎日に胸にひっかかるの。」
「今日はいいかな? 元気かな? って」

心地良く感じ、あたり一面に広がる黄緑色の田んぼを見渡します。
「おばぁちゃん、ちょっと子供多すぎだね。」
ニコーっと大きく笑い答えてくれます。
「親は大変なんだよぉ。暑い寒い言って休んでたら、イジけた子供になるんじゃないかな?」
「お水たりてるかな?」
「虫に喰われてないかな?」
「毎日、毎日 素直になーれ 素直になーれ って思ってやってたらこんな歳になってしまった。」

話し終わるとすぐにニコーっとします。

ふいに少し遠くをゆっくり指差します。
「ほれっ、あれが成功品。」
田んぼの真ん中で胸より下を稲にいれながら、かき分けるように雑草を取っている男性がいます。
「うちの息子。あれは素直で成功した。」
思わず二人で大笑いします。
すっかり腰の曲がっているおばぁちゃんは、田んぼに脚をとられると怪我をしてしまうため、田んぼの道から手の届く範囲をずっと歩いて回ります。
とはいえ、それだけでも気の遠くなる広さです。
孫のことから歩きの旅のこと、昨日や今日のことまで、互いに汗を拭きながら話しています。

実は、一つ気になることがありました。
おばぁちゃんが笑うたびに今朝食べたらしい焼きそばの青海苔が前歯についています。
別れる前に教えると、最後に二人で大笑いして再び歩きはじめます。

福井の長寿の秘訣を感じた時間が過ぎていきます。
相も変わらずの気温と景色がいつまでも新鮮に感じるのは、毎日、毎日を大切に生きている人がすぐそこにいるからなのかも知れません。
<< 徳島県 吉野川市 9/17 滋賀県 志賀市 8/21 >>