最低限の礼節程度の挨拶はしたと思います。
東京で、メアス博子さんとの始めての対面。
印象深い会話はいくつもありましたが、その中で僕について博子さんの言葉です。
「寄付を受けることは、初めてではなかったのですが、毎年同じ時期に、必ず 1円 単位で寄付をする人に興味が湧いたんです。
きっと、どこかのNPO・NGOの方だとおもっていたら・・・」
彼女にとって僕の印象は意外だったようです。
スナーダイクマエとは、「 カンボジア人の手によって 」 と直訳されます。
それは、孤児院における子供達の自立を意味しているのでしょう。
一児の母であり、20人を越える孤児達の母であり、女性であり、運営責任者。
初めて会ったとは思えないほど、治安・宗教・観光・教育・・・次々と会話を繰り返します。
カンボジアにおける深刻な状況は、時にメディアの注目を浴びるようです。
ローカルNGOでの活動を続けるスナーダイも例外ではありません。
来客も多く、そのときに正装として着るシャツのデザインを依頼されました。
それは、孤児院における子供達の一体感にも繋がり、発足当時からの目標だったと聞きます。
北海道に戻り、すぐに「 NATURAL BICYCLE 」に相談しました。
彼らもまた、初めてイベントを開催したときから、変わらずサポートを続けてくれている大切な友人達でした。
孤児のサイズ・人数に合わせた枚数と、同じ数の洗い換え用、住み込みスタッフの分を物資として届けることになりました。
郵送を検討していると、博子さんからの返信は、
「 孤児院内に壁画を残して欲しい 」
僕が自分の手で運び、絵を描くことが、自然な流れだと、
それ以外は考えませんでした。
タイ経由で入国寸前の飛行機のなかでさえ、どこか実感がありませんでした。
しかし、キャリーケースにびっしり詰まった60枚のTシャツは、これまで支えてくれた方々の想いが染み込んでいるかのようでした。